• 「市川房枝」ってどんな人なの?
  • 婦選 アーカイブス
  • アクセス

活動報告

2015年度

◎連続講座「戦後70年」を考える ⑫女性と人権 政治参画の現状と夫婦別姓訴訟最高裁判決から考える(3.12)詳しく読む
◎国の第4次男女共同参画基本計画と2016(平成28)年度予算案について聞く会(2.26)詳しく読む
◎連続講座「戦後70年」を考える ⑪日本の民主主義はどこに行く? 戦後思想の水脈から(2.13)詳しく読む
◎連続講座「戦後70年」を考える 特別講義 世界の中の慰安婦(2.2)
◎市川房枝政治参画フォーラム2015「2016日本経済と地方財政 自治・分権時代の自治体議会・議員の役割」(1.29~30)
◎連続講座「戦後70年」を考える ⑩沖縄でいま起こっていること(1.16)詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ⑨近代日本と水俣病―その今日的問い掛け(12.12)詳しく読む

◎ジェンダー平等政策サロン ④「国会・地方議会でジェンダー平等は実現するか―制度改革等を視野に入れて」(11.28)詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ⑧「植民地の慰安婦 戦後70年=植民地『解放』70年目に問われるもの」(11.14)詳しく読む

◎女性参政70周年記念事業「女性を地方議会へ in 東北 2015」(11.7-8) 詳しく読む

◎市川房枝政治参画フォーラム2015 「社会保障制度のこれから 国の役割、自治体の役割」(10.30-31)詳しく読む

◎女性展望カフェ「ドイツの戦後70年、そして欧州の難民問題とメルケル首相の決断」(10.16) 詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ⑦「沖縄に向き合う 『県外移設』論をどう受け止めるか」(10.10)詳しく読む

◎女性展望カフェ「老妻バッシング?! この現実をご存知ですか」(9.30) 詳しく読む

◎ジェンダー平等政策サロン ③「海外のジェンダー予算の取組み―韓国・フィリピンの事例に着目して」(9.26)詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ⑥「原発事故は私たちに何をもたらし、何を奪うのか」(9.12) 詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ⑤「国家と個人とメディアの関係を考える―コミュニケーションの権利と憲法」(8.8)  詳しく読む

◎女性展望カフェ「いま語る―戦争の時代を生きて」(7.30)詳しく読む

◎ジェンダー平等政策サロン ②「子どもの貧困対策をめぐる現状と展望―ジェンダー平等の推進に向けて」(7.25) 詳しく読む 

◎脱原発1日セミナー「コミュニティパワーの時代へ」 (7.12) 詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ④「『前後70年』歴史の変造をどう食い止めるか―メディアを戦争に加担させないために何ができるか―」(7.11) 詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ③「大国中国とどう向き合うか―戦後70年を迎えて」(6.13) 詳しく読む

◎ジェンダー平等政策サロン ①「男女共通の労働時間規制は可能か~家事労働ハラスメントを超えて」(5.30) 詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ②「なぜ日本は日米開戦に進んだか、そしていまへの教訓」(5.9)詳しく読む

◎連続講座「戦後70年」を考える ①「日本のエネルギー問題と原発」(4.11)詳しく読む

 

連続講座「戦後70年」を考える

⑫女性と人権―政治参画の現状と夫婦別姓訴訟最高裁判決から考える(3.12)

連続講座最終回の講師辻村美代子さんは、憲法・比較憲法・ジェンダー法学が専門で、現在明治大学法科大学院教授を務め、男女共同参画会議員でもある。世界経済フォーラムジェンダーギャップ指数によれば、政治分野では日本は135カ国中101位~105位と低迷したままであると述べ、続いて男女共同参画白書による女性参画状況の詳細を報告。一方、夫婦別姓訴訟最高裁判決について、民法750条(夫婦同氏原則)は直接女性差別をしているものではないが、中立的な基準を用いつつ差別的な結果を生み出す間接差別であることを指摘。男女平等の観点からは実質的不平等であること、人権論の観点からは氏名の変更を強制されない人格権の尊重か、婚姻制度など家族制度の維持かの再検討が必要だとし、今回の最高裁判決は民主主義が日本社会に根付いていなかったことを証明してしまったと述べた。最後に社会改革・政治分野の男女共同参画のためのコンセンサスの確立・理論化を、いかに進めるかを力強く語った。

国の第4次男女共同参画基本計画と2016(平成28)年度予算案を聞く会(2.26)

「国の女性関係予算案を聞く会」は1962(昭和37)年度から日本婦人有権者同盟と共催してきた恒例の事業であるが、2011年度からは第3次男女共同参画基本計画の進捗状況を軸に国の予算案を聞く会が開催されてきた。本年は第4次男女共同参画基本計画の実施期間5カ年の初年度にあたり、①第4次計画の推進にかかわる予算案編成の方針、特色、②12の個別分野に関連づけた施策関係予算案について6府省の担当者から説明をうけた。出席は、今回から外務省が新たに加わり、内閣府、経済産業省、厚生労働省、農林水産省、文部科学省で、女性団体、地方議員、研究者、ジャーナリスト等42人が参加し、活発な意見交換、要望が行われた。

連続講座「戦後70年」を考える

⑪日本の民主主義はどこに行く? 戦後思想の水脈から(2.13)

講師の宇野重規さんは政治思想史専門で、東京大学社会科学研究所教授を務める。初めに欧米各国の現在の政治情勢に触れて、右派と左派に極端に分極化していること、これは格差の拡大がもたらしたものだと述べた。丸山眞男とその流れを汲む政治学者たちの言説を追い、戦後日本社会に残る封建的要素こそ、戦後民主主義の最初の問題意識であったという。戦後民主主義のモラルの根幹は、敗戦と加害の認識から来る2度と戦争をしたくないという「戦争経験」と「中国に対する罪の感覚とある種の親近感」「原爆への憎しみ」であるとの言説や、民主主義の本質は少数者の視点をどこまで組み込めるかということだという言説を紹介し、今、この戦後民主主義が約束し、世界の国々の共通理念でもあった平等は、どこへ行ったのかと疑問を投げかける。戦後思想の継承のために私たちは何をしたらいいのか、それが今日の宿題だと結んだ。

連続講座「戦後70年」を考える

⑩沖縄でいま起こっていること(1.16)

講師の島洋子さんは琉球新報東京報道部長で、沖縄生まれの沖縄育ち。3年前東京本社への転勤で初めて沖縄を離れた。沖縄をめぐる2つの神話「沖縄は基地で食っている」「海兵隊は抑止力」では、安倍首相が明言した沖縄への予算3000億円は国からの財政移転の総額であり、基地を置くことの迷惑料として財政移転の額に3000億円を上乗せするものではないことを強調。さらに基地返還後にそこから生み出された観光や雇用の経済効果は、返還前の30数倍や100倍になっていることを、数字を示して明らかにした。2014年の沖縄知事選、那覇市長選、衆院選など一連の選挙で、戦後続いてきた保守対革新の政治的構図が一変したことを語り、1月24日投開票の宜野湾市長選の模様に言及して、この選挙結果が普天間飛行場移設問題に与える影響の大きさを指摘した。

連続講座「戦後70年」を考える

⑨近代日本と水俣病―その今日的問い掛け(12.12)

講師の実川悠太さんは認定NPO法人水俣フォーラムの理事長を務める。戦後70年は明治150年、言い換えれば近代化150年の中で捉えるべきだという。日本窒素肥料株式会社(現チッソ)の成り立ちと第1次世界大戦をきっかけに発展していく歴史を語り、水俣病がどのようにして発生したかを振り返る。水俣病は日本で初めて確認されたが、世界中で起こっているものであり、その原因物質メチル水銀の毒性や食物連鎖は、1997年にデンマークの研究者による実験によって証明されるに到った。大気中の水銀の量は僅かであり有史以来変わっていない。微量であっても人間だけでなく生物をも汚染し、次世代を傷つけるものなのだと強調する。

人類が高度成長時代を経て成長がなだらかになったときには、新しいモラルや倫理を作らなければならない。その時に大切なことは、限られた自分の経験だけではなく様々な自分と異なった経験や事実を学び、さらにはそこに関与していくことだと語った。参加者約30人。

 

ジェンダー平等政策サロン

④「国会・地方議会でジェンダー平等は実現するか―制度改革等を視野に入れて」(11.28)

 第4回ジェンダー平等政策サロンは、大山礼子先生(駒澤大学教授)から、フランスの取り組みを例に女性議員を増やすためのお話を伺った。

 定数是正が盛んに議論されているが、一票の地域間不平等に加え日本では女性議員が衆議院、9.5%、参議院、15.9%(2015)、地方議会では都道府県が8.8%、市で13.1%、町村、8.7%(2013)と、いずれも女性の過少代表が顕著である。女性不在の議会での政策決定に「歪み」が生じる事は明らかである。この状況は有権者の議会に対する信頼喪失につながり、国民の政治不信が代議制民主主議に危機的状況をもたらしている。

 フランスでは、3月の県議会議員選挙で世界初の男女ペア式選挙を採用し女性議員比率50%を達成した。1980年代フランスはEU諸国中、女性議員比率が最下位グループにいたが社会党政権下で積極的な選挙制度改革が模索され、1999年にパリテ(同数)原則を導入した憲法改正が行なわれた。しかし県議会で女性の進出は進まず、2013年に政府はペア方式の選挙制度改革を実施した。政府主導で女性議員が躍進した好個の事例である。

 日本でも戦後初の衆院選で女性議員割合が8.4%と世界平均の3%を上回ったことがあった。また参議院に比例代表制を取り入れ、同院の女性議員数が増加した。代表制民主主義を機能不全に陥らせないため「意識が変わらないと…は禁句」であり、「制限連記制」「比例代表制」等の「現実的な」選挙制度改革を模索することが喫緊である、と主張された。

 

連続講座「戦後70年」を考える 

⑧「植民地の慰安婦 戦後70年=植民地『解放』70年目に問われるもの」(11.14)

東京外国語大学大学院教授の金富子さんはジェンダー史を教え、運動として1990年代から日本軍慰安婦問題に関わってきたが、研究者になってから慰安婦問題に取り組んでいる。慰安婦問題とは何かを、多くの論考から説き起こし、慰安婦制度は戦時売春ではなく戦時性暴力であり、慰安婦は性奴隷であったと結論する。戦時下朝鮮での戦場への女性動員の実態を資料から明らかにし、女子挺身隊と慰安婦の混同は何故起きたかの検証に及ぶ。韓国で2013年に刊行された『帝国の慰安婦』(朴裕河著)に対比する意味で、今回のテーマを「植民地の慰安婦」としたとも述べ、激しく著者への反論を行った。日本人慰安婦は性差別と階級差別、娼婦差別の産物であるが、朝鮮人慰安婦はそれらに加えて、植民地主義と民族差別が一体となった複合差別であり、この植民地支配を背景とした民族差別こそが、朝鮮人女性を大量に動員することを可能にした。その意味で植民地の慰安婦こそが朝鮮人慰安婦の実態であると強調した。参加者約35人。

女性参政70周年記念事業「女性を地方議会へ in 東北 2015」(11.7-8)

女性参政70周年記念事業の皮切りは、東北6県の女性グループと共催で開催した標記のイベント。1932(昭和7)年に東北婦選大会が行われた秋田が開催地となった。秋田県中央男女共同参画センターと(公財)秋田県女性会館には東北6県の現職・元職女性議員や一般女性ら約110名が参加した。

企画内容は6県による実行委員会で相談を重ね、初日は市川房枝が1936年にレコードに吹き込んだ「婦選の話」のDVD上映に続き、岩尾光代さん(歴史ジャーナリスト)と岡崎トミ子さん(前国会議員)のクロストーク「女性が地方政治を変える」、現職議員向けの講演「地方創生を考える視点」(青山彰久・読売新聞東京本社編集委員)と選挙初心者向けの「私たちにできる選挙運動」(大河巳渡子調布市議、鈴木規子西尾市議)と続き、夜は交流会。

2日目はまず女性を議会へ送り出す活動をしている「がりっと平等・秋田」事務局長の佐藤加代子さんと「ウピィの会・山形」会長の井上みやまさんによるクロストーク。続いて6県の現職議員のリレートーク「女性の視点は必要? 議会で私が心がけていること」(橋本尚美・青森市議、山田陽子・野田村議、白内恵美子・柴田町議、石川ひとみ・秋田県議、渡辺ゆり子・山形県議、佐川京子・白川市議)が行われた。

午後は4県提案による分科会(岩手=地域活動から議会へ、宮城=セクハラ野次、超党派で立上る、秋田=女性の政治参画、きっかけをどうつくる、青森=18歳からの選挙権・政治・生活をテーマにダイアローグ)、全体会と、もりだくさんのプログラムが進行した。

会場には東北婦選大会関係の写真パネルも掲示し、市川の肉声とともに「女性参政権」の原点が再確認された。そして80年後の現在、女性議員の現状が様々に報告され、どうすれば女性議員を増やせるか―全国的に女性議員割合が最も少ない地域としての課題を共有し、これに取り組んでいくスタートとなった。

 

市川房枝政治参画フォーラム2015

「社会保障制度のこれから 国の役割、自治体の役割」(10.30-31)

標記のフォーラムには11都府県から45名の現・元職議員と、一般市民9名が参加した。初日は「地方創生の課題」をテーマに、坂本誠氏(NPO法人ローカル・グランドデザイン理事)が講演。人口減少が自治体消滅とはならないこと、増田レポートの「消滅可能性都市リスト」への恐怖から思考停止や諦め感が醸成され、地域に対する主体性や自治がなくなることこそ怖いこと、地域を熟知する住民自身が数字に踊らされないで地域の将来を自分の目で見つめ、考えていくことが大事だと、自治体としての対応の在り方を説いた。過疎地域などの事例を豊富に示しながら、誇りと愛着を感じられる地域づくりこそ究極の人口減少対策であると。
「マイナンバー制度」については弁護士の出口かおり氏が講演。内閣官房や総務省作成資料などから制度が市民と自治体にどのように関わることになるかを解説した。

 

2日目は、井上信宏氏(信州大学教授)の講演「生活保障システムの転換と地域包括ケア」。制度の持続可能性を考える前に私たちの暮らしの持続可能性を考えるべきとして、地域包括ケアシステムは自立よりも自律支援であるべきと強調した。自治体がこのシステムを構築するに当たっては高齢者が地域でどのような生活課題を抱えているかを具体的にとらえ、高齢者の生きづらさを社会問題としてとらえる必要があるとも語った(写真)。

午後は、介護保険法の2015年度改正を受け、2年がかりでどのように制度が変わっていくのか、その詳細を小竹雅子氏(市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰)が「介護保険の現状とこれから」と題して講演した。続いて渡辺惠氏(社会福祉士・介護支援専門員)は改正のたびに複雑化する介護現場の実態を報告し、両氏を交えてディスカッションを行った。

 

女性展望カフェ

「ドイツの戦後70年、そして欧州の難民問題とメルケル首相の決断」(10.16)

講師は、「女性展望」9-10月号に「ドイツで『安倍談話を読む』―日独の『戦後70年』に想う」を執筆の永井潤子氏(在べりリン・ジャーナリスト)。一時帰国を利用して講演願った。詳細は「展望」にあるが、同じ敗戦国として戦後を歩んできた両国なのに、今夏の安倍談話の内容は情けないもので、ドイツとはっきり差がついた、とまず語った。またこれまではソ連兵だけの戦時性暴力が取り上げられてきたが、70年目の今年初めて西側の軍隊による性暴力にも光を当てられたことや、過去に向き合うことの大切さについて初めて移民の背景を持つドイツ人も含めて言及されたことなどを指摘。終戦記念日(5月8日)前にはメルケル首相がダッハウ強制収容所で「過酷な生活を生き延びることができた皆さまの証言により、私たちは歴史の真実を知ることが出来た」と講演したことや、シュタインマイアー外相がソ連の激戦地をソ連の外相と訪れ、謝罪と和解のメッセージを述べたことなどを紹介しながら、ドイツの文化の特徴は「記憶の文化」であると語った。
シリアからの難民問題については、今回日本に出立前の話と断ったうえで、メルケル首相が「難民が押し寄せてくるのは大変なことだが、これまでドイツは難民・移民を受け入れ、東西ドイツ統一にも成功してきた。経済状況が良好な今、難民を受け入れてもやっていける」と記者会見で語るのを取材したと話した。

 

連続講座「戦後70年」を考える 

⑦「沖縄に向き合う 『県外移設』論をどう受け止めるか」(10.10)

講師の高橋哲哉さんは東京大学大学院総合文化研究科教授で、哲学や人間の安全保障を教えている。沖縄は日本の国土0.6%の面積の中で、米軍基地の73.8%を担っている。その起源は沖縄戦にあり、かつては「本土」にあった基地も沖縄に移され、基地が沖縄に集中していった経緯を述べ、沖縄に基地を「隔離」することによって、「本土」の人々の目から見えなくしたという。沖縄への基地の集中は沖縄の責任ではなく、本土の有権者たちの政治的選択であり、本来基地は「本土」にあるべきもの、県外移設とは沖縄から「本土」に基地を「引き取る」ことだと主張する。沖縄に犠牲を強いてきた構図を解消し、県外移設からさらに国外移設という、全ての基地を日本からなくすためには、日米安保条約を解消すべきであり、今回の若い人たちの安保「法制」反対の動きが安保「体制」反対に向かっていくことを願うと語った。

女性展望カフェ「老妻バッシング?! この現実をご存知ですか」(9.30)

ノンフィクションライターの沖藤典子氏が、自身が夫の介護、看取りをした3年余の経験も踏まえて、老妻介護の現実を語った。「妻は内助の功を尽して当たり前」と世間に見られ、地域の医療や福祉・介護関係者からは、社会的地位よりも「妻」であることが優先されて無能と見られること、精神的・肉体的疲労や金銭問題などもあると、辛さの内容を持ち前の明るいテンポで紹介。「老妻は最後の植民地」であるとして、根深いジェンダー問題を指摘した。

ジェンダー平等政策サロン

③「海外のジェンダー予算の取組み―韓国・フィリピンの事例に着目して」(9.26)

第3回は、越智方美さん(国立女性教育会館研究国際室専門職員)から、各国で取組みが進むジェンダー予算の実態について、韓国とフィリピンの最新の調査結果をもとにお話しいただいた。ジェンダー予算とは、国・地方自治体予算の編成・実施・評価の過程にジェンダー視点を組み込むもので、ジェンダー主流化を推進する上で有効な政策ツールとなる。
すでに90カ国以上で制度化されているが、韓国では、女性運動グループからの働きかけにより、2006年にジェンダー予算関連事項を含む「国家財政法」が施行され、急速に推進体制が整えられた。その包括的取組みは注目に値するという。一方、90年代初頭から「ジェンダーと開発」(GAD)予算を皮切りにジェンダー予算を導入したフィリピンでは、法的拘束力が弱く、時の政府の姿勢により各部署のコミットメントに強弱やバラツキが大きいとのことである。

当センターでは、2011年と2012年に開催したジェンダー平等政策ワークショップで同テーマを取り上げて以来、毎年2月開催の「国の予算案を聞く会」やジェンダー平等政策サロンでもジェンダー予算の分析手法や導入の意義について学びの機会を提供してきた。今回のサロンでの貴重な報告と活発な意見交換からは、日本での取組みの必要性について、さらに理解を深めることができたのではないかと思う。

 

連続講座「戦後70年」を考える

⑥「原発事故は私たちに何をもたらし、何を奪うのか」(9.12)

武藤類子さんは原発に頼らない暮らしを提案して里山喫茶を経営していたが、2011年の東電福島第一原発事故で閉店。現在福島原発告訴団団長を務める。溜まり続ける膨大な量の汚染水問題では、高濃度汚染水の外洋漏出が発覚したときの東電や政府のあきれた釈明を、静かな中に怒りを込めて語り、国の研究開発費で行われている原子炉を凍土壁で覆う凍結試験は難航していることなど、原発サイト内部の現状を報告。人々の暮らしでは、除染で出た放射性物質を含む廃棄物を詰めたフレコンバッグ仮置き場や市街地にも溢れる大きなバッグの山を写真で示し、破れた袋から放射性物質の漏れ出す危険性を訴え、その中で進む帰還政策に怒りをにじませた。

 

東電と国の責任を問う訴訟は2回の不起訴を経て2015731日、検察審査会の起訴議決によりやっと裁判への道が開かれたが、被害者が限定されたため直接裁判にかかわることができない。しかし裁判に注目し支えていきたいと熱意を込めて語った。原発事故は人だけではなく、自然界の小さな生き物の命も巻き込んだ非常に罪深いものだと結んだ。

 

連続講座「戦後70年」を考える

⑤「国家と個人とメディアの関係を考える―コミュニケーションの権利と憲法」(8.8)

白石草(はじめ)さんは放送局勤務を経て、2001年独立メディアOur Planet-TVを設立、代表を務める。ラジオは国家が植民地向けに自分たちをアピールするために始まった歴史があり、アメリカの極東向け日本語放送Voice of Americaが始まったのは、実に日本の真珠湾攻撃翌日からだったという。第2次大戦後の日本では放送免許を国が監理し現在も続いているが、それは他国には見られないいびつな形だともいう。放送の不偏不党と表現の自由を確保するという放送法の目的が存在するにもかかわらず、テレビの放送中止事件が1950年代から90年代までに約140件に上ること、放送内容のテーマは安保条約批准を巡る対立を反映したもの、自衛隊の存在の是非をめぐるもの、ベトナム戦争や日韓条約を取り上げたものであったと報告した。最近の報道をめぐる安倍首相と自民党の言動は、自民党がメディアを支配しているみたい?とも問いかける。 大きなメディアで報道されないことは、社会で起きなかったこととされてしまう。小さな声を大事にこれからも発信し続けて行きたいと力強く語った。参加者30人。

 

女性展望カフェ「いま語る―戦争の時代を生きて」(7.30)

進行担当の宇野勝子さんが体調の都合で不参加となったが、8歳の時に東京大空襲を体験した木﨑和子さん、病欠で建物疎開作業による広島の原爆を免れた関千枝子さん、勤労動員で風船爆弾をつくった鳥海哲子さん、38度線を越えて朝鮮から引揚げてきた山口美代子さんの4人がそれぞれあの時代を生き抜いてきた体験を語った。毎夏、広島で亡くなった少年少女たちの慰霊碑をめぐるフィールドワークの案内をしている関さんは、慰霊碑や市内の地図を書画カメラで映しながら説明した。折しも安保法案が衆院で強行採決され、参院で審議中である。二度とこの体験を誰にも、子どもにも味わわせたくないと口々に語れば、会場からも戦争は絶対反対、戦争は始めてはいけないと応じた。参加者40人。

(詳細は『女性展望』2015年9-10月号掲載予定)

 

ジェンダー平等政策サロン

②「子どもの貧困対策をめぐる現状と展望―ジェンダー平等の推進に向けて」(7.25)

ジェンダー平等政策サロン第2回目は、湯澤直美さん(立教大学教授)から子どもの貧困をめぐる現状と展望について、わかりやすい具体例と豊富な統計資料・配布資料をもとにお話しいただいた。
日本の子どもの貧困率は16%をこえ、6人に1人が貧困状態にいるが、日本人の貧困に対する認識が低いこと、家族依存の福祉観があること、「就労するひとり親世帯」の方が「非就労のひとり親世帯」より子どもの貧困率が高いこと、ふたり親世帯であっても、就労による貧困緩和の効果が低いことなどが指摘された(日本では女性の就労が貧困をほとんど緩和しない)。
特に考えさせられたのは、湯澤さんの子どもの貧困問題への方策を講じようとしてもその合意形成・実施にあたり、従来のジェンダー観が妨げになっているとの指摘である。例えば、貧困層の子どもへの食事支援は母親が子どもの食事をつくるべきだというジェンダー観によって進まない現状があるという。また、子どもの貧困の場合、親がきちんと子どもの面倒をみるべきである(この場合、「親」が母親である場合が多い)との言説に陥りがちであるが、社会で子どもの貧困に対処すべきであると強調された。

参加者からは、地域差や教育の効果についてなど熱心な質問があった。また、参加者が実際に行っている支援の紹介や、今後の方策について活発な意見交換がなされた。

 

脱原発1日セミナー「コミュニティパワーの時代へ」 (7.12)

午前中は講演2本。弁護士河合弘之さんは「脱原発、そして自然エネルギー」、環境ネルギ―政策研究所長の飯田哲也さんは「『ベースロード』に隠された悪意と時代錯誤」と題して語った。映画「日本と原発」の監督でもある河合弁護士は、来春には自然エネルギーをテーマにした第2作を公開予定であるといい、また福井地裁が高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定し、他方川内原発は再稼働に向けた動きを強めているが、これで一勝一敗ではなく、裁判を闘い続けていること自体が勝っていることと同じだと強調した。飯田さんは、世界的に自然エネルギーと原子力が逆転してきている状況を実例を挙げて説明し、政府の「ベースロード電源」は技術的には「ガラパゴス」、政治的には「狼に被せた羊の皮」、2030年エネルギー需給見通しの「数字遊び」による誤魔化しだと喝破した。そして全国各地の「ご当地エネルギー」について、自治体は土俵づくりと自然エネルギー普及のためのサポート役に徹し、主役は住民であるべきと、パートナーシップのあるべき姿を語った。

 

午後はパネルディスカッション「市民の力で再生可能エネルギーをつくりだす」(写真)。自然ネルギ―100%のまちをめざして1981年から活動してきた非営利型株式会社宝塚すみれ発電代表取締役の井上保子さん、昨年末に発足したばかりの社団法人「おらって」にいがた市民エネルギー協議会副代表理事の横山由美子をパネリストに、環境ネルギ―政策研究所研究員の古屋将太さんがコーディネーターで進行した。井上さんは、子どもたちが安心して暮らせる社会にするのは「自分たちの責任」だとして粘り強く行政と交渉し、生産性ゼロの関係から「市民協働」に発展して行った経過を、様々な事例を紹介しながらパワフルに語った。食(稲作、野菜、酪農)とエネルギーを結び付け、緑の循環システムも構築するなど、ご当地エネルギーのパイオニアである。横山さんは協議会発足から、今年6月に発起人32人、資本金1390万円で「おらって市民エネルギー株式会社」の設立に至った経緯と、これから新潟市の施設の土地や屋根を借りて太陽光発電事業を始めると語った。デンマークの大学で環境エネルギー社会論を学んだ古屋さんは、現在各地のコミュニティパワーの実践を支援している立場で、エネルギー事業を進めていくには仲間づくりや組織の立ち上げ方、民間と行政のパートナーシップなどをまず考えることが肝要だと語った。 参加者は地方議員ら40名。

 

 

連続講座「戦後70年」を考える

④「『前後70年』歴史の変造をどう食い止めるか

―メディアを戦争に加担させないために何ができるか―」(7.11)

講師の桂敬一さんは日本新聞協会勤務の後、東京大学新聞研究所教授・立正大学文学部教授を歴任し、日本ジャーナリスト会議代表委員を務めた。朝日新聞の慰安婦報道の吉田証言と、福島原発事故調の吉田調書の誤報問題による朝日バッシングは、メディアの萎縮をもたらしたが、自民党若手議員の文化芸術懇話会でのいわゆる勉強会発言に対しては多くのメディアが批判の声を上げたと、主要な全国紙・地方紙28紙の社説の見出しを提示。また、“戦争法案”に多数存在する「・・・事態」の収斂する自民党改憲案の「緊急事態法」に触れて、ナチスドイツがワイマール憲法に手を付けることなく、緊急事態法をつくって独裁政権を築いていったことを思い起こすと語った。戦争はある日突然やって来るものではない、忍び寄ってくるものなのだと、警告を発する。参加者30名。

 

 

連続講座「戦後70年」を考える

③「大国中国とどう向き合うか―戦後70年を迎えて」(6.13)

講師の毛里和子さんは現代中国論・東アジア国際関係論が専門の研究者で、静岡県立大学、早稲田大学等で教鞭をとり、2013~14年まで「新しい日中関係を考える研究者の会」の代表幹事を務めた。1972年の日中国交正常化以来40年あまりの現在、日中関係は最も悪くなっている。領土問題・台湾問題・歴史問題という切り離せない難しい問題を解決するためには、日中ともに賢明なリーダーと相互信頼が必要だが、今、相互信頼があるとは言えないのは残念なことだ。戦後70周年の記念の仕方の1つは第2次世界大戦の反省と謝罪をこの節目に繰り返しすることであり、アジアの国々と和解するための前提条件である、と強調した。参加者 32名。

 

 

ジェンダー平等政策サロン 

①「男女共通の労働時間規制は可能か~家事労働ハラスメントを超えて」(5.30)

3年目に入ったジェンダー平等政策サロンは、第1回サロンで竹信三恵子さん(和光大学教授)が、家事労働、ケアワーク蔑視の社会―「家事ハラ社会」でますます底辺化する女性労働者の実態を、豊富な統計資料をもとにお話しされた。現行の「均等法」「派遣法」「介護法」の下での労働・福祉政策は、男並みに働くことを唯一の労働モデルにし、夫に扶養される女性と妻(嫁)の「家事的労働」を想定基準としているため、「ケア(家事・育児・介護)有り」女性の働く環境が、「均等法」「派遣法」の施行された1985年以降も悪化し続けている現状が国際比較とともに分析された。そして男女共通の労働時間規制を実現するためには、これまでの「標準労働者像」を転換し、家事・育児・介護労働を射程に入れた新しい労働者像をつくることが必要であり、そのためには「生を支える労働」(=ケアワーク)に新しい価値づけをすることが肝要であると強調された。 サロン恒例となった参加者の活発な意見交換があり、女性が働きやすい社会にするためには、「家事ハラ社会」の法制度を「家父長から個人単位」に切り替える必要があるなどの指摘があった。

 

連続講座「戦後70年」を考える

②「なぜ日本は日米開戦に進んだか、そしていまへの教訓」(5.9)

講師の孫崎享さんは英、ソ、米、イラク、カナダ勤務などを経て駐ウズベキスタン大使や駐イラン大使、国際情報局長などを歴任した元外交官。その経験から、昨今の日本の政治、社会状況が第2次世界大戦に突入した過程と似ていると警鐘を鳴らした。当時の国内政治や日本を取り巻く国際関係の諸資料を振り返りながら、現在直面している集団的自衛権や原発再稼働、TPPなどの政府の方針の危うさを指摘。これらに対抗するには市民が力をつけるべきとして、民主主義は不断に勝ち取る努力が必要であることや、ドイツの神学者マルティン・ニーメラーの言葉を引用して弾圧や排斥を他人事とみないこと、また「アラブの春」などのように市民がSNSを利用することも提言した。参加者50名。

連続講座「戦後70年」を考える

①「日本のエネルギー問題と原発」(4.11)

講師の飯田哲也さんは大学で原子核工学を学び、研究者、産業界、原子力規制と様々な立場を経て、現在は環境エネルギー政策研究所の所長である。それらの経験から「3.11の事故の直接の引き金は地震と津波だが、国会事故調は人災だと言い、原子力ムラが引き起こした事故であることは間違いない」と断言した。3.11前は電力の25%をカバーしていた原子力が止まり、海外からその分は何で補ったかとよく問われたということだが、節電が最大の代替エネルギーであるとして、自民党の提唱するベースロード電源には省エネを入れるべきと強調した。また世界的に持続可能なエネルギーへのシフトが進み、日本でも各地で「地産地所有」のご当地エネルギーが立ち上がり、その多くを女性たちが担っていると語った。参加者36名。