各地の男女共同参画センター/女性センター(以下女性センター)は、コロナ禍を生きる女性を支援するために、どのような事業を展開した/いるのだろうか、また何ができていないのか−。全国の女性センターの多くが参加する「全国女性会館協議会」(市川房枝記念会女性と政治センターも会員)は、会員館を対象にコロナ禍による管理運営や事業への影響調査(2020年度)、困難な状況にある女性への対応及び事業に関するアンケート調査(21年度)を実施した。講師の谷口さんは静岡市女性会館アイセル館長でこの調査実施の中心メンバーである。
20年度には回答館の多くが学習・研修事業縮減を迫られ、貸し室事業ができずに収入を減らすなど財政面で苦労した。図書の貸し出し中止もあった一方、Web発信増加、広報誌号外発行、コロナ禍をテーマにしたSNSでの情報提供に力を入れる工夫もあり、相談事業も面接を電話に変更、メール相談やオンライン相談を新設するなどしたが、給付金関係や緊急内容は面接で実施するなど対応を柔軟にした館もあった。ただし初期段階ではオンライン化に際しスタッフのスキル不足や受講者の知識不足が壁になった事情もあり、ノウハウを伝える講座を開催した例もある。
21年度調査では、7割の施設が困難な状況にある女性に対応した事業を実施したことが明らかになった。地域女性活躍交付金を得て、つながりサポート型と類型化される「相談」「居場所」「生理用品の提供」を実施した館などがある。先進例として、緊急アンケートでニーズを把握し、企業とも連携して「女性のためのコミュニティスペース」を設置したドーンセンター(大阪府)、市内6カ所で出張相談会「女子のためのほっとスペース」を開催し、困難な状況にある女性の次の行動に向けた自己決定を可能にする安全な場所を提供するレスパイト事業を実施したエルソーラ仙台の事例が詳しく紹介された。
参加者は45名。女性センターの役割や課題を再確認できる機会となったこと、地方議員が女性センターの意義を理解し、支援する重要性についてのコメント等が寄せられた。(国)
【イベント詳細】2022連続講座「“政治”を揺り動かす」第6回
講師 |
2022年11月12日(土)13:30〜15:30 「コロナ禍における男女共同参画センターの役割」 谷口年江さん(特定非営利活動法人全国女性会館協議会常任理事) |
形式 |
オンライン(zoomウェビナー) |
参加費 |
1,100円(税込) |
定員 | 50名(要予約) |
【講師メッセージ】新型コロナウイルス禍は女性に大きな影響を及ぼしましたが、男女共同参画センターの管理運営や事業にも大きな影響がありました。第5次男女共同参画基本計画では、地方公共団体に対し男女共同参画センターの果たす役割を明確にし、取組を強化・充実するよう求めています。全国女性会館協議会が会員館に対して実施した「コロナの影響で困難な状況に置かれた女性に対する事業の取組状況」の調査結果及び取組事例を紹介しながら、センターの役割について考えます。
【プロフィール】静岡市主催人材育成講座「第4期アイセル女性カレッジ」修了後、他の期の修了生有志とNPO法人を設立。2007年から静岡市女性会館の指定管理者となり、2018年4月に館長就任。2019年6月から全国女性会館協議会常任理事。