台風による人的被害(死者・不明人数)は、5,000人を越えた伊勢湾台風(1959年)の後、急減した。しかし、保険金支払額として表される経済的被害は、近年の台風の激甚化に伴って急増している。すでに1960年代からアメリカによるハリケーン制御の試みはあったが、うまくいかないまま凍結された。日本では、伊勢湾台風の後、災害対策基本法(1961年)が制定され、そこには「台風に対する人為的調節」が挙げられていた。とはいえ、国としての本格的な施策は、昨年(2021年)の台風科学技術研究センター設置であり、ようやく産官学の協働による技術開発が動き始めた。